サービス残業を強要されて、あなたも「ふざけるな!冗談じゃない!」という気持ちを押し殺しながら、終わらない仕事をやらされて泣き寝入りしていませんか?
「仕事が終わらなくて残業になるのはお前のせいだろ?」
「定時内に終わらないなら定時後にやれ」
「残業したくないなら昼休みを取らないでやったらいいだろう」
「お前のミスが原因なのに残業代が出るわけないだろ!」
サービス残業を強要されることがどうしても納得がいかず、勇気を振り絞って、「これってサービス残業じゃないんですか?違法ですよね?」と尋ねてみると、
「大企業じゃあるまいし、中小企業でサービス残業なんて当たり前なんだよ!嫌なら転職しろ!」
と、恫喝まがいに怒鳴られる。
特にひどい会社なら定時にタイムカードを勝手に押されて、サービス残業を強要する会社もあるでしょう。こんなサービス残業を当たり前に、終わらない仕事量を押し付けてくる会社、そんな会社には「もう行きたくない!」となって当然ですよね。
今回は、サービス残業を強要されて辛いという方に、その効果的な対策法をお伝えしていきます。記事の前半は「サービス残業を強要してくる理由とその手口」をつらつらとお話していきますが、具体的な対策を練るには「相手を知る事」から。
後半に「サービス残業を強要されて、終わらない仕事に限界を感じている人」にぜひ読んでほしい具体的な対策をお伝えしていきますので、前半は飛ばし飛ばしでもいいので、頑張って読み進めてみてください。
サービス残業をは当たり前ではありませんよ!しっかり対策を練って対応していきましょう!
目次
1. サービス残業を強要してくる理由
では、会社や上司からサービス残業を強要された場合は、どのように対策すればいいのでしょうか。それは、強要が「会社ぐるみ」なのか「上司一個人の指示」なのかで対応が変わってきまう。
それぞれの対策を考えていくにあたり、まずは「サービス残業をなぜ強要してくるのか」という理由を探ってみます。
①会社ぐるみでサービス残業を強要してくるケース
まずは、サービス残業を「会社ぐるみ」で強要してくるケースです。強要してくる理由は、主に次の3つが考えられます。
経営者が労働法を理解していない
個人経営・小規模の会社であったり、新しく設立された会社であり得るケースです。会社を経営する人間が、労働法を理解しておらず、「残業なんて払う余裕はうちにはないよ?」「残業代は基本給に含んでいるけど、何が悪い?」なんて感じで、サービス残業を当たり前化してきます。
経営者の理解不足で悪意がない場合は、強要を拒むことで、サービス残業がなくなる可能性はあります。経営者と良好な関係を築けているなら、「社長、これってサービス残業の強要で違法ですよ」とチクリとやるのもありかもしれません。
会社経営が厳しい
次の会社ぐるみでサービス残業を強要してくるケーは、、会社経営が厳しく残業代を減らしたいときです。さきほどの「残業代なんて払う余裕はうちにはないよ?」と同じですが、そこの違いは「違法性」を知ったうえで強要してくるところ。
「残業代なんて払っているとうちの会社は潰れちゃうけど、それでもいいの?あなたも失業すると困るでしょ?」とばかりに、違法行為を押し付けてきます。
サービス残業が当たり前になっている
最後の会社ぐるみのサービス残業を強要してくるケースは、サービス残業が当たり前になっているケース。会社単体の問題として「昔からうちの会社はサービス残業が当たり前。残業代はボーナスにのっけている」などで言い逃れます。
他にも残業が多い業界も「業界的に当たり前だし、うちだけが悪いわけじゃない。仕方ないだろ」とサービス残業を肯定します。
特に、一般消費者を相手するサービス業界は、勤務時間が不定期で終わりが見えにくく、全体的にサービス残業が多くなる傾向にあります。
②上司一個人でサービス残業を強要してくるケース
次は、上司一個人の判断・見解でサービス残業を強要してくるケースです。ブラックな職場なら、嫌がらせのように最初から終わらない仕事量を押し付けてくる場合もあります。
ノルマが厳しい上司
今の管理職は特に中間管理職として、多大なノルマを与えられ、自分の裁量の中で結果を出すように求められていて、自分の部署の残業代を抑えるためにサービス残業を強要してくるケースがあります。
その結果、社員1人1人が終わらない仕事量を抱えこむことに。このケースでの対策には、もう一つ上の上司や会社の相談窓口に相談する、ということが挙げられます。
あくまで上司一個人の判断で強要してきたことですので、会社が動いてくれることでその強要が収まる可能性はあるかもしれません。
パワハラ上司
または、パワハラ上司なら、「この仕事明日までにやっといて。お前の仕事ぶりが悪くてこうなってるんだから、もちろん残業はつけるなよ」なんてこともありますよね。
このような上司一個人のサービス残業の強要の場合も、もう一つ上の上司に「このようにサービス残業を強要されました」と相談するのもありかもしれません。
ただし、パワハラのケースは、そのパワハラひどくありますので、相談するときは「徹底抗戦」ぐらいの気持ちを持って望むことをおすすめします。徹底的に、サービス残業を強要された証拠を残すようにしてから、戦いに挑むようにしてください。
2. サービス残業を強要する手口
まずは最初に「サービス残業を強要してくる理由」を見てきましたが、次はどのようにしてサービス残業を強要し、終わらない仕事を社員に押し付けるのか、その手口をみていきます。
強要手口①定時でタイムカードを押させる
サービス残業を強要する常套手段、「定時でタイムカードを押させる、または勝手に押す」です。
働いた時間通りにタイムカードを押されれば、時間外労働の証拠がバッチリ残りますので、強要する会社側とすれば、まずこの証拠隠滅を図ります。
強要手口②サービス残業の指示は口頭で行う
もちろんサービス残業の指示は「口頭」で行われます。今の時代、何でもメールで仕事のやり取りをする時代ですが、さすがにサービス残業をメールで指示してくる上司はいないでしょう。
もし、そんな上司がいれば、サービス残業を強要された有力な情報になりますので、いざというときのために、そのメールを個人使用のアドレスに転送、または文面を印刷して保管しておいてください。
強要手口③「自主性」を前面に押し出す
サービス残業をそもそも「残業」でないことにするために、定時後の時間は「社員が自主的に残っている」ということにし、残業代が出ないように持っていく会社も少なくありません。
「個人スキルを上げるため自主的に勉強しろ」と残らせ、その実体は定時内で終わらない仕事を時間外にやらせるように仕向けます。
強要手口④朝の時間外業務をやらせる
「予定があるので、今から残業はできません」というと、「じゃあ、明日の朝早くでてきてやれ!」と、朝のサービス残業を強要する手口です。
特に朝の時間は、仕事の準備や机の清掃、朝礼の時間など、業務の一環なのか、それ以外なのかがあいまいになりやすいところです。
例えば、仕事の開始時間が9時からだといって、9時ちょうどに出社する人はいませんよね?誰であれ開始時間前に出社し準備を始めるはずです。
この時間帯が時間外労働になるかどうかの見極めは、その時間が「労働者が使用者の指揮命令下におかれているか」どうかが1つのポイント。タイムカードの時刻ではなく、会社の指示によって活動しているかどうかが重要になってきます。
ではさきほどの「じゃあ、明日の朝早くでてきてやれ!」、これはどうなのか?
この場合、客観的にみて明らかに強制力をもった指示ですので、時間外労働にあたると判断できます。
朝の業務指示は特にそのサービス残業の判断があやふやになりがちです。対策としては、指示された言葉の「言葉尻」までしっかりとメモしておくことです。
「朝やるのも一つの方法だよね?」「朝でてきてやれ!」では、そのニュアンスが微妙に違ってきます。ブラックな会社ほど、このあたりを巧妙な言葉でサービス残業を強要し、終わらない仕事量を押し付けてきます。
強要手口⑤自宅でやらせる
自宅で仕事をさせる持ち帰り残業は、それが会社の指示であれば、サービス残業と認定されますが、社員が勝手に持ち帰ってやったケースは残業と認定されません。
これをいいことに、「終わらない仕事は自宅でやれ!」とばかりに、証拠の残りにくい自宅で仕事をやることを強要するわけです。
このようなときでも、対策は「メモ、メモ、メモ」です。言われたこと、指示されたこと、すべてを手帳にメモして、自宅で何時から何時までこのような仕事をやった、ということをすべて記録するようにしてください。
強要手口⑥みなし残業を使う
みなし残業とは、社員の一定時間の残業をあらかじめ設定し、毎月決まった残業代を加算し支払うことです。労働時間が把握しにくい外回りの営業職などに使用されていて、別名「固定残業」とも呼びます。
このみなし残業は、その方法による残業代の支払い自体は違法にはなりませんので、サービス残業を常習化したい会社にとって、利用しやすい制度です。
「あなたの月の残業目安は20時間ですね」と設定し、20時間分の残業を支払い、実際は50時間の残業をさせ、差額の30時間分はサービス残業とするわけです。
強要手口⑦名ばかり管理職にする
名ばかり管理職とは、「管理職」という名前はつけているが、実態としては、通常の社員と同じ扱いを受けている社員のこと。
労働基準法では、労働者には残業代(割増賃金)を支給しなければならないとされていますが、これに対し「管理監督者」の立場になると、割増賃金の支給は不要になります(労働基準法41条2号9)
これを根拠に、給料は低いままに「管理監督者」である管理職に仕立て上げ、やる仕事はそのままに、サービス残業を強要してきます。
サービス残業は当たり前!社員を社畜化するブラック企業の手口
サービス残業を強要する手口を見てきましたが、ブラック企業はこれらを駆使し、「社員をどんどん社畜化」していきます。
- 月100時間以上の残業は当たり前。
- サービス残業が奨励されている。
- メンタル疾患で出社できない社員が続出。
- 始発で帰り、定時で出社。
ブラック企業がどのような手口で、サービス残業を当たり前にし、働く社員を「社畜化」していくのか。ここでは、さらに詳しく解説していきます。
続きはこちら>>「サービス残業を当たり前」にするブラック企業の具体的手口とその対処法。
3. サービス残業を強要されたときの対策
ここまで、サービス残業を強要する理由とその手口を見てきました。ここからは、サービス残業を強要されたときの具体的な対策を考えてみましょう。
サービス残業を強要されたときの対策は、大きく分けて次の6つになります。
【受け入れる】【相談する】【証拠を残す】【拒否する】【訴える】【転職する】
この6つを複合的に駆使して対策を行っていきます。
対策満足度0%【受け入れる】
サービス残業を強要されたときの対策満足度0%は、【受け入れる】です。
総合的な結論から言いますと、対策として一番いいのは、拒否して相談して改めさせ、サービス残業を社内から根絶させる。これが一番良い対策方法です。あなたがヒーローになれます。
でも、現実的にサービス残業が当たり前に横行している会社で、それを拒否できる人は少ないでしょうし、拒否した時点で、その会社には居づらい環境が出来上がってしまいます。
対策にはなっていませんが、どうしても転職できない人、パワハラなどの仕返しが怖いなどの理由で強要されたサービス残業を泣く泣く受け入れなければならない人もいるかもしれません。
パワハラの仕返しが怖くて、具体的な対策を打てない人は、まずはこちらのパワハラ上司の対処法の記事をチェックしてみてください。
合わせて読みたい>>パワハラ上司対処法。その特徴と心理を知ればあなたの心はきっと軽くなる!
対策満足度30%【受け入れる&相談する】
次は満足度30%の対策です。パワハラの仕返しが怖いとはいっても、いつまでも終わらない仕事を押し付けられ、サービス残業を黙って受け入れるだけでは、さすがに我慢なりませんよね。
そんな方は、まずは会社の人間以外の誰かにその悩みを相談してみましょう。サービス残業を強要されたときの対策として、この先は【訴える】【転職する】などの実行動を伴う対案をしていきますが、多くの人が泣き寝入りするのが現実、実際に行動に移せる人はなかなかいません。
なので、まずは誰かに自分の心のうちを聞いてもらうこと、「サービス残業を強要されているんだけど、どう思う?」と第三者の冷静な声を聞いてみましょう。
そうすることで「自分は一人ではない」と勇気がでますし、実際に行動にする実行力が生まれます。ここで注意点は一つ。相談は必ず社外の人にしてください。
社内の人は、すでに「サービス残業は当たり前」の意識を植え付けられている可能性が大。相談したところで、「仕方ないじゃん」と【ただ受け入れる】に引っ張られるだけです。
関連記事>>【仕事の悩み相談】誰にどうやって相談する?→答えはこれです。
対策満足度50%【受け入れる&証拠を残す】
次のサービス残業強要に対する対策法は、ひとまず受け入れ、将来のいざというときのために、徹底的に強要された証拠を残すことです。
もちろん、いざというときとは【転職する】【訴える】こと。
サービス残業に限らず、パワハラ、セクハラなど、労働問題で争うときは、とにかく「証拠」が何よりも重要になってきます。
証拠の効力は、相手の言動が客観的に確認できるメールの文面やICレコーダーでの録音などがベストですが、サービス残業の強要はほぼ口頭で行われるでしょうし、口頭の指示にしてもそれをICレコーダーに残すのは、現実的にはなかなか難しいと思います。
そんなときは、とりあえず、言われたこと、指示されたことを「メモ、メモ、メモ」です。専用の手帳やノートを作って、一言一句残らずメモしましょう。ここはサービス残業を強要されたときの対策として一番重要になりますので、のちほど詳しく説明していきます。
対策満足度60%【受け入れる&証拠を残す&転職を決める】
サービス残業を強要された証拠を残していくと同時に、転職先を決めてしまいましょう。
さきほどご紹介したサービス残業の強要手口のうち「みなし残業」は、大手企業でも普通に取り入れられている制度ですので、固定残業としてある程度給料に加算されていて、そこに整合性があるなら一概にダメと言い切れませんが、他の行為は働く社員を搾取するためのもの。
定時でタイムカードを押させる、自宅でやらせる、「自主性」を前面に押し出す、朝の時間外業務をやらせる、名ばかり管理職にする
このような手口が普通に行われている会社は、一刻も早く辞めるべきです。普通では終わらない仕事量を押し付け、社員を搾取しないとやっていけないような会社に未来はありませんし、そんな会社で働く時間がムダです。
まっとうな会社で働く友人と、どんどんキャリアの差が広がってしまいます。あなたの貴重な時間を切り売りしてまで、そのブラックな会社に居続ける理由は何ですか?そのことを改めて考えてみてください。
対策満足度80%【拒否する】
サービス残業を強要されたときの対策、証拠を集め、転職先が決まったなら、ついに【拒否する】です。
家族や社外の友人に事前に相談を済ませていて、あなたの周囲に心強い仲間がいるなら尚よし!勇気を持って、サービス残業を拒否しましょう!
転職先も決まっていますし、訴えるための証拠も残しています。今までのサービス残業強要にうっぷんが溜まっている人で強気にでれる人は、ここぞとばかりに反撃してもいいでしょう。
ただ、必要以上に反撃すると、退職するまでの間にいらぬ嫌がらせを受ける可能性がありますので、あくまでほどんほどにしておくことをおすすめします。
また、訴える人は、間違っても「訴えますから!」なんてことは口にしないように。証拠を隠滅するなど、相手の対策を講じる時間を必要以上に与えてしまうことになります。
対策満足度100%【転職する&訴える】
サービス残業を強要してくる会社への最高の対策方法は、今より良い会社に転職を決めてから、サービス残業分の未払賃金を支払うように訴えを起こすことです。
良い会社に転職できることは、サービス残業を強要してくる会社や上司を見返すことにもなりますし、訴えることであなたがマウントを取ることができ、優位にたつことができます。
サービス残業の未払い賃金を支払わせることができれば、本当に気持ちが「スカッと!」します。
サービス残業の訴え方は、次に詳しく説明していきますね。
4. サービス残業代の具体的な訴え方
では、ここからは、具体的なサービス残業代を取り戻す方法をご紹介していきます。
普通の感覚の人だったら、「サービス残業代は取り返せない」と思うかもしれません。
でも、意外とこれが簡単に取り返すことができるのなんです。
「自分の仕事のスピードが遅いから」と、自分のせいにして諦めてしまう人も多いでしょう。だけど、仕事のスピードと残業代が支払われないことは全く関係のないこと。
社員が働いた分は、すべてきちんと会社は支払わなければならなく、これは会社の義務なのです。
会社が残業代を支払わないのは、ご飯の食い逃げと一緒。働かせるだけ働かせておいて、その分の給料を払わないなんて許せたもんじゃありません。
1. 出勤時刻と退社時刻をメモしよう
ここまでも何度かお伝えしていますが、サービス残業を取り戻すには何よりも、その「証拠」が必要になってきます。
この証拠については気難しく考える必要はありません。ただ、出勤時刻と退社時刻などのメモを取るだけでOK。
専用のノートを作って、そこに出勤時刻や退社時間、その日に仕事であった出来事を記入します。例えば「〇〇課長に仕事を依頼され、19時から23時まで▲▲の業務をした」など、出来るだけ具体的に書き込みます。
このメモはやっぱり詳細であればあるほど信ぴょう性も高まります。他にも、会社を退社するときに家族に「これから会社を出ます」と毎日メールをしたりするのもいいですね。
サービス残業を強要されたことをメモにすることは、「いつか残業代取り返してやるからな」という気持ちになれたり、「精神的に落ち着く」という効果もありますよ。
2. 労働基準監督署に行く
残業代の支払いは、「労働基準法」で定められていること。サービス残業代を取り戻そうとするのなら、これらのメモした証拠をもって、労働基準監督署へ駆け込めば、きちんと払ってもらえるでしょう。
ただ、労働基準監督署は、仕事が忙しい職場です。日本には何百万という事業所がありながら、全国に約2000人しか職員がいません。
だから、忙しさゆえに、あんまり相手にしてもらえないケースも多いの事実。労働基準監督署は、確実に解決しそうなケースしか動こうとしないのです。
そこでポイントになるのが、腰の重い労働基準監督署の動かし方です。ポイントは大きく次の3つがあります。
①証拠をきっちり作っておくこと。
②自分自身で会社に請求すること。「サービス残業代を支払ってください」ということをメールするか、内容証明書で郵送してください。
このような手続きを取って、会社が支払う意識がないことを明らかにすることがポイント。
「メールを送ったけど無視された、払えない、と返信された」
このような、請求したけど、会社は支払ってくれないということを明確にしてください。
メールでも内容証明書郵便でも「〇月〇日までに回答してください。払ってくれない場合は、労働基準監督署へ申告にいきます」と書き添えるのもおすすめです。
それまでに回答がなければ、サービス残業代を支払う意識がないということで、これも「証拠」の一つになります。
③そして3つ目のポイントが、この2つを準備したうえで、労働基準監督署に「申告」という手続きを取ることです。
これらの証拠を持って、「相談」という形で労働基準監督署に出向いても、「まぁまぁ、こういう事例はよくあることですから」とノラリクラリと適当にかわされることがよくあります。
しかし、「これは証拠があるんだから、今すぐ動いてください」というふうに「申告」すれば、労働基準監督署も動かざるを得なくなります。
「申告」の対応は、権限を持った労働基準監督官にしか行うことができません。ここに動いてもらうように持っていくのが、サービス残業代を取り戻すための大きなポイントになります。
3. サービス残業代が200~300万円に上ることも!
こうして申告することで、サービス残業代を取り返すことができます(ただし、支払ってもらえるのは請求してから過去2年間分のみ)
例えば、毎月60時間のサービス残業が12ヵ月×2年間、月給20万の人が、時給換算して残業代が時給約1500円として計算しても200万以上ある計算になります。もっと月収が多い人であれば、300万以上になることもあるでしょう。
サービス残業はこのようにして請求できます。ただ在職中で会社の中にいる場合は、請求しづらい人もいると思います。
そんなときは、「こんな会社にいたくない!」「あと数年でこんな会社辞めてやる!」と思う気持ちは胸に秘め、ひとまず、いろいろな証拠をメモしておいて、会社を辞める時に請求してしまうのもひとつの手です。
5. こんなサービス残業でも取り返すことができる!
サービス残業の請求について、少しイレギュラーな場合についても説明したいと思います。
Q1.三六協定を結んでいるから残業代を請求できない?
→ A. サービス残業代を請求することができます!
三六協定とは、労働基準法36条に基づいて、会社法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働を命じる場合、労働監督署に届け出が必要となる。
三六協定を結んでいるから、残業代は支払わない、とたまに勘違いしている経営者もいるようですが、三六協定を結んでいても、残業代は支払わなくてはなりません。
三六協定を結んでいると、残業させても「罰せられない」とういうだけなのです。中小企業の社長さんなどによくみられる勘違いなので、こちらの場合も残業代を支払わせることが可能です。
Q2. みなし残業代をもらっているから、サービス残業代を請求できない?
→ A. サービス残業代を請求することができます!
会社が残業代を節約するためによく使う手口として、メジャーなのが「みなし残業代」です。これは何時間残業しても一定額の残業代を毎月固定で支払う、というシステムです。
契約書に「基本給16万円+残業代4万円」と書かれていたり、「うちは残業代込みだから」「業務手当が残業代の代わりだから」と言われたりしたことはないでしょうか。そういった場合、みなし残業代になっている可能性が高いと言えます。
しかし、みなし残業代が合法になるために、3つの条件を契約ではっきりさせなければなりません。
①残業時間
②金額
③「超えた場合に支払う」と記載し、実際に払われること
ということは、「うちはみなし残業代5万円(しかし残業何時間分か教えてくれない)」は違法ということ。
例えば、「基本給16万円+固定残業代4万円(50時間分)」で100時間残業した場合、もしきちんと残業代が支払われなかったら、固定残業代も含めた基本給(20万円)をベースにそこから100時間分(※超過の50時間ではなく)の残業代を新たに請求できます。
そもそもなぜ会社はみなし残業を使うのでしょうか。理由は大きく2つあります。
まず最初の理由としては、求人票に固定残業代を含めた金額を載せることで基本給を高く見せるため。その次に、残業代は何時間働いたとしてもみなし残業代分しか支払われないという風に労働者を騙すためです。
あなたの会社が「みなし残業代」を導入していたら、後で残業代を請求できるようにきちんと労働時間の記録を残しておくようにしておきましょう。
Q3. 裁量労働制だから残業代を貰えない?
→ A. サービス残業代を請求することができます!
専門業務や企画業務など、労働時間を把握しづらい仕事に就く人には、「裁量労働制」というものが適応されます。これは簡単に言うと、「何時に出勤しても何時に退社しても自由ですが、仕事は求めるところまできちんとこなして下さい」ということです。
裁量労働制の場合、年俸制などで給料はあらかじめ決まっていて、残業代は出さないという体裁の会社が多いのですが、この裁量労働制が会社に悪用されていることもよくあります。
残業代を支払わなくていいと会社側が思っていることで、どんな仕事をしていようが社員に裁量労働制にしてしまう経営者も少なくないのです。
裁量労働制が合法であるためには、次の3つがクリアされているかどうかが必要になります。
- 適法に手続きがとられていること
- 法律が認めている「業種」や「職種」に該当していること
- 仕事をする上で本当に「裁量」があること
適法な「業種」であっても、法律で認めた以外の「職種」に就いていることで違法となるケースもあります。
裁量労働制で働く人には、「命令」をしてはいけないのをご存知でしょうか。業務の遂行方法まで個人の裁量に任せることになっているので、「この仕事は〇〇のようにやって!」というように命令することはできないのです。
さらに、どこまで進んでいるかの進捗確認などもしてはいけないことになっています。ざっくりした仕事の振り方で、あまりたくさんの仕事を押し付けてもいけないのです。
裁量労働制にする場合、働く人と会社側で「労使協定」を結ぶ必要があります。
裁量労働といいながら、違う「業種」や「職種」に就かせていたり、実際は細かい指示などを出していたりする場合や、「労使協定」を結んでいない場合など、そもそも裁量労働ではないので、残業代はすべて請求することができます。
6. サービス残業を取り戻したいなら「コミュニティ・ユニオン」を利用しよう
サービス残業と取り戻すといっても、一人で会社を相手にするのはしり込みしてしまう人は多いでしょう。そんな時に頼りになるのが、「コミュニティ・ユニオン」という団体です。
コミュニティ・ユニオンというのは、企業の枠を超えた労働組合のことです。働く人たちを守るために集まっている人たち、と考えてよいでしょう。
コミュニティ・ユニオンでは、電話相談を受け付けていたり、会社の問題点を指摘してくれたり、自分の置かれた状況がどんなものなのか、第三者的な立場から適切にアドバイスをしてくれるのです。
会社のやり方に少しでも納得いかないところがあるようなら、まず電話してみましょう。相談にはお金がかかることもありません。
(コミュニティ・ユニオンで検索すればすぐ出てきます。)
残業代が支払われなかったり、給料が安すぎて生活できないといった時など、一人では会社が相手にしてくれないこともあります。そんな時に役に立つのがこの「コミュニティ・ユニオン」です。
「労働組合法」が根拠になっているので、会社は交渉を拒むことができません。労働組合の専門家が一緒に話し合いに来てくれるので、会社の違法行為を指摘したり、給料アップなどの交渉をしてくれる心強い味方なのです。
普通の労働組合は企業ごとにあって、正社員しか入れなかったり、入っていてもちゃんと守ってくれなかったりしますが、このコミュニティ・ユニオンは普通の労働組合とはまったく違います。
サービス残業対策の強力な味方になりますので、ぜひこの機会にその存在を知っておいてくださいね!
7. サービス残業は当たり前じゃない!あなたの意識も変えよう!
サービス残業を強要されたときの対策法をお伝えしてきましたが、いかがでしたか。
特に新入社員や中途社員の方は、入社してサービス残業が当たり前の社風だと、それを強要されることにも疑問を感じず、残業代が出ないまま働くというような状況に陥りがちです。
また、このような方は、まだ仕事に慣れておらず、必然と残業も多くなります。そんなとき「仕事が終わらないのは自分のせい、残業代が出ないのは仕方ない」と、サービス残業を肯定してしまいます。
でもそれは大間違い。
「残業が出る、出ない」に、「仕事ができる、できない」はまったく関係ありません。
サービス残業を強要してくるような会社はまっとうな会社ではありませんので、可能な限り転職することを検討してください。今すぐに転職できないにしても、サービス残業を強要された証拠を集める期間に、転職サイトに登録ぐらいはして、求人情報は常にチェックしておくべきです。
結局は、その「転職サイトに登録しておくかどうか」のちょっとした行動力が、ブラック会社から「逃げれる人」と「逃げれない人」の大きな違いとなって現れます。
あなたはいつまで、その劣悪な職場環境で働くつもりですか?定年まで一生ですか?
サービス残業を肯定してしまうと、あなたのこれからの人生はどんどん辛いものになっていきます。
そうならないためにも「サービス残業は当たり前ではない!強要されるなんてまっぴらごめん!」と、あなた自身の意識も変えるようにしていってください。
あなたの限りある貴重な時間をそんな場所で、無駄に消費しないでくださいね!
★あなたが今の仕事をやめるべきかどうかの明確な基準をこちらでお伝えしています。
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